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訪問介護事業所の開業手続き|指定申請の要件・流れ・必要書類

2026 10/23
訪問介護
2024年11月26日2026年10月23日
訪問介護事業所の開設基準|訪問介護の人員・設備と指定申請の流れ
目次

訪問介護とは

「訪問介護」とは、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問して、食事・排泄・入浴などの介護や、掃除・洗濯・買い物・調理などの支援をするサービスで「ホームヘルプ」とも呼ばれています。

利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるように生活をサポートします。

訪問介護のサービス内容

訪問介護で受けられるサービス内容は「身体介護」と「生活援助」があります。

  1. 身体介護
    ・食事の際の介助
    ・入浴の際の介助、入浴ができない場合の清拭
    ・トイレの介助、おむつの交換
    ・着替えの介助、移動の際の歩行介助
    ・床ずれ予防のための体位変換
    ・その他の必要な身体の介護
  2. 生活援助
    ・生活用品、食材の買い物
    ・食事の用意(調理、配膳、片づけ等)
    ・掃除、ゴミだし
    ・洗濯(洗う、干す、たたむ、整理等)
    ・その他必要な家事

なお、訪問介護には、身体介護・生活援助のほか、通院等のための乗車・降車の介助(通院等乗降介助)もあります。ただし、通院等乗降介助のみを行う事業所としての指定は受けられず、身体介護・生活援助もあわせて提供する体制が必要です。いわゆる介護保険タクシーとの関係は、「介護タクシーと介護保険タクシーの違い」で解説しています。

訪問介護の対象者

要介護1から5の認定を受けた人が対象です。

要支援1・要支援2の認定を受けている方は、訪問介護に相当する「介護予防・生活支援サービス」を受けることができます。

訪問介護を行うための基準

訪問介護事業を始めるには、訪問介護事業を行うための人員や設備、運営などに関する基準を満たして都道府県(地域によっては市)に申請を行い、事業者としての指定を受けて「指定事業者」となる必要があります。

指定基準は大きくわけて4つあり、そのすべてを満たす必要があります。

  1. 法人格を有すること
  2. 人員基準を満たすこと
  3. 設備基準を満たすこと
  4. 運営基準を満たすこと

また、この基準は申請時だけでなく、指定を受けた後も満たし続ける必要があります。

指定後に基準を満たすことができなかった場合は、指定が取り消されることもありますので、注意してください。

指定基準は、指定を受ける都道府県等によって独自の基準を設けています。事前に開業予定地の都道府県等に確認しておきましょう。

法人格を有すること

訪問介護事業を行うには、株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人などの「法人」であることが必要です。

法人の種別は問われませんが、法人を設立してからでなければ申請をすることができません。また、法人の定款の目的には「訪問介護事業」を行うための適切な文言が記載されている必要があります。

例えば、「介護保険法に基づく訪問介護事業」です。

目的の記載方法は、申請先(都道府県や市)により具体的に「このように記載してください」と指定されていることがありますので、事前に開業予定地の申請窓口へ確認しておきましょう。

人員基準を満たすこと

訪問介護事業を行うには、必要な人員を置かなければなりません。

申請時点で必要な人員が確保できている必要がありますが、指定後においても、実際にサービス利用者がいるかどうかに関わらず、人員を確保していることが求められています。

管理者

管理者は、利用者へ適切なサービスを提供するために必要な知識及び経験を有する者でなければなりません。

配置基準
1人。
常勤であり、原則として専ら当該訪問介護事業に従事する者。
ただし、管理業務に支障がないと認められる場合、他の職務を兼ねることができます。
資格要件
なし

サービス提供責任者

サービス提供責任者は、ケアプランに基づいて「訪問介護計画書」を作成し、利用者へ適切なケアが提供されるようにヘルパーに指示を与える人です。

「サ責」とも呼ばれ、訪問介護サービスの重要な役割を担っています。常勤の訪問介護員のうち、1人以上の者をサービス提供責任者としなければなりません。

配置基準
事業所の利用者の数が40人又はその端数を増すごとに1人以上
資格要件
・介護福祉士 ・実務者研修修了者・旧ホームヘルパー1級等

訪問介護員(ホームヘルパー)

訪問介護員は実際に利用者の自宅を訪問して、必要なサービスを提供する人です。ホームヘルパーとも呼ばれています。訪問介護員は、有資格者であることが必要です。

配置基準
常勤換算で2.5人以上
訪問介護員の合計勤務時間が常勤の職員で2.5人以上。例えば、常勤の職員が週40時間勤務の事業所の場合、週40時間/人×2.5人分=週100時間以上確保しなくてはなりません。
資格要件
・介護福祉士 ・実務者研修修了者 ・初任者研修修了者・旧ホームヘルパー2級相当以上の者等

同一事業所において、管理者とサービス提供責任者は兼任することができますので、訪問介護員(ホームヘルパー)と合わせて頭数で最低3人以上の人員を確保する必要があります。

開設者(法人の代表者)に介護の資格は必要?

訪問介護事業所を開設する法人の代表者には、介護福祉士などの資格は求められていません。管理者にも資格要件はありません。

一方で、サービス提供責任者と訪問介護員には、上記のとおり資格が必要です。介護の資格を持たない方が開業する場合は、要件を満たすサービス提供責任者・訪問介護員を確保できるかが、開業準備の最大のポイントになります。

設備基準を満たすこと

訪問介護の事業の運営を行うために必要な事務室、相談室を設けるほか、必要な設備及び備品等を備えなければなりません。

事務室

広さの規定はありませんが、管理者やサービス提供責任者の人数分以上の机・椅子、書類や備品などを収納するための鍵付きの書庫が収容できる程度の広さが必要です。

相談室

広さの規定はありませんが、利用申し込みの受付や相談に対応するために適切な広さが必要です。
サービス利用者などが相談に訪れた際に、プライバシー保護の観点から個室が望ましいとされていますが、パーテーションを利用して仕切ることもできます。

設備・備品

事務室や相談室で利用する机・椅子、鍵付の書庫、電話・FAX、パソコン、コピー機などが必要です。また、感染症予防のため玄関脇や洗面所には、ハンドソープやペーパータオル、アルコール消毒液を設置します。

運営基準を満たすこと

運営基準とは、適切なサービスを提供するにあたって訪問介護事業者が行わなければならない事項や留意すべき事項など、事業を実施する上で求められる運営上の基準です。

運営基準は多数ありますが、その多くは指定申請後に満たすべき基準になっています。また、運営基準プラス独自の基準を設けている自治体もあります。

運営に関する基準項目:例
  1. 内容及び手続の説明及び同意
  2. 提供拒否の禁止
  3. サービス提供困難時の対応
  4. 受給資格等の確認
  5. 要介護認定・要支援認定の申請に係る援助
  6. 心身の状況等の把握
  7. 居宅介護支援事業者・介護予防支援事業者等との連携
  8. 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供
  9. 居宅サービス計画の変更の援助
  10. 身分を証する書類の携行
  11. サービス提供の記録
  12. 利用料等の受領
  13. 保険給付の請求のための証明書の交付
  14. 指定訪問介護サービスの基本取扱方針
  15. 指定訪問介護の具体的取扱方針
  16. 訪問介護計画の作成
  17. 家族に対するサービス提供の禁止
  18. 利用者に関する市町村への通知
  19. 緊急時等の対応
  20. 管理者の責務
  21. サービス提供責任者の責務
  22. 運営規程
  23. 介護等の総合的な提供
  24. 勤務体制の確保等
  25. 業務継続計画の策定等
  26. 衛生管理等
  27. 掲示
  28. 秘密保持等
  29. 広告
  30. 不当な働きかけの禁止
  31. 居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止
  32. 苦情処理
  33. 地域との連携
  34. 事故発生時の対応
  35. 虐待の防止
  36. 会計の区分
  37. 記録の整備

申請先と開業までのスケジュールについて

訪問介護事業を行うための申請書の提出窓口は、都道府県(指定都市・中核市では市)です。この申請に基づき指定を行う行政機関を「指定権者」と呼びます。

指定権者から指定を受けなければ、訪問介護事業を行うことはできません。指定日は、基本的に「毎月1日」です。

指定までのスケジュールや、申請前の研修・事前相談の要否は指定権者によって異なるため、事前に確認することが重要です。

東京都の場合

  • 申請先:公益財団法人東京都福祉保健財団(介護事業者指定室)。八王子市内の事業所は八王子市へお問い合わせください。
  • 申請方法:原則として「電子申請・届出システム」で提出します(郵送はやむを得ない場合のみ)。
  • 指定日:毎月1日
  • 申請期限:指定予定日の2か月前の15日まで(電子申請の場合は15日23時59分までにシステムへ到達。郵送の場合は15日を目途に送付)
  • 新規指定前研修:受講が必須です。申込期限は、指定予定日の4か月前の末日までです。
  • 事前相談:東京都福祉保健財団で受け付けています(毎月15日頃は申請受付が集中するため、この期間の事前相談は控えるよう案内されています)。
  • 区市町村協議:令和8年度は、荒川区・東久留米市・武蔵村山市で、訪問介護が区市町村協議の対象です。これらの区市で開設する場合は、申請前に各区市の介護保険担当への事前相談が必要です(対象は年度ごとに変わります)。

たとえば4月1日に開業する場合は、「12月末日までに研修申込 → 研修受講 → 2月15日までに申請 → 4月1日指定」という流れになります。法人設立・物件確保・人員確保を含め、遅くとも半年前から準備を始めることをおすすめします。

※手続きやスケジュールは変更されることがあります。申請前に、東京都・東京都福祉保健財団の最新情報をご確認ください。

関連:東京都で申請する場合の申請先・事前相談・全体の流れは「東京都内で介護事業所を立ち上げるには?」で、開業後の経営で押さえたい点は「訪問介護の開業で失敗しないために|よくある7つの失敗と対策」で解説しています。

申請に必要となる書類の例(東京都の場合)

訪問介護の指定申請に必要となる書類の例を掲載しました。

指定権者である自治体によって、必要な書類の種類や内容は異なります。

事前に自治体HPを確認したり、申請窓口に問い合わせをしたりして、必要な書類を確定させてから、書類の収集や作成に入るとスムーズです。

ここでは、東京都に申請を行う場合の必要書類の一覧を掲載しています。

  • 指定申請書
  • 訪問介護事業所の指定等に係る記載事項
  • 申請者の登記事項証明書又は条例等
  • 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
  • 資格証の写し
  • 事業所の平面図
  • 外観及び内部の様子がわかる写真
  • 運営規程(料金表含む)
  • 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
  • 誓約書及び誓約書別紙
  • 老人居宅生活支援事業開始届
  • 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書、体制等状況一覧表、加算様式・参考様式(加算を算定する場合のみ)
  • 雇用契約、就業規則に関するチェックリスト
  • 老人福祉法上のチェックリスト

開業後の労務管理

指定を受けて事業を始めると、職員の雇用に伴う労務管理が始まります。雇用契約書・就業規則の整備、時間外労働を行わせる場合の36協定の届出、社会保険・労働保険の手続きなどです。人員基準を満たす勤務体制を保ちながら、労働基準法などのルールにも沿って運営する必要があります。

行政書士法人・社労士事務所MOYORICでは、指定申請だけでなく、開業後の社労士顧問として、労務管理を継続してご支援しています。顧問契約のお客様は、雇用契約書・36協定の作成を無料で承ります。
料金は「料金のご案内」をご覧ください。初回相談は無料です(社労士顧問の対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉/大阪・兵庫)。
訪問介護
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この記事の監修者

津田 拓也のアバター 津田 拓也 行政書士・社会保険労務士

行政書士法人・社労士事務所MOYORIC 代表社員。行政書士(東京都行政書士会 登録番号 第06301884号)・社会保険労務士(東京都社会保険労務士会 登録番号 第13220433号)。
2006年に神戸で開業し、現在は東京・神戸の2拠点で、介護・障がい福祉サービス事業の指定申請から、開業後の社会保険・労務管理、処遇改善加算の計画書・実績報告までを一体的に支援しています。
当サイトの記事は、関係法令・告示・通知と自治体の運用を確認したうえで監修しています。

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