合同会社設立6つのポイント

合同会社の定款は簡単に設立できるのでは?と、インターネットで検索して見つけた雛形をそのまま使おうとしていませんか?

合同会社の定款は株式会社のように公証役場での定款認証は必要ありませんので、簡単に作成はできます。

ただし、このことは裏返すと「専門家のチェックが入らないまま設立手続きを進めてしまう」と言うことでもあります。

ここでは、合同会社の定款を自分で作成する際に犯しやすい間違いについて、解説いたします。

ポイントは全部で6つです。

合同会社の定款をご自身で作成するという方は、ぜひ参考にしてください。

ポイント1.絶対的記載事項の記載漏れがないこと

合同会社の定款には、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」があります。絶対的記載事項が記載されていない定款は無効になります。

  • 商号(会社名)
  • 目的(事業内容)
  • 本店所在地(会社の住所)
  • 社員の氏名及び住所
  • 社員を有限責任社員とする事
  • 社員の出資の目的とその価額

極端に言うと、これらの絶対的記載事項さえ記載していれば、定款は完成です。

最近では、インターネットで多くの定款雛形が公開されていますので、それらを利用して定款を作る人も多いのではないでしょうか。

定款の雛形を使用する場合、特に記載内容を気にすることなく作成すると思いますが、絶対的記載事項が入っているとは限りません。

もし絶対的記載事項を記載せずに法務局へ定款を提出すると、定款を作成し直さなければなりません。補正対象として、再度定款を法務局へ提出しなければなりませんので、その分登記の完了が遅くなります。

第三者が作成した定款の雛形を使用する場合は、必ず定款に絶対的記載事項が記載されているか、確認を行うようにしましょう。

ポイント2.商号に使用できる文字を確認すること

商号(会社名)には、使える文字と使えない文字があります。

<商号に使える文字・数字・符号>

  • ひらがな、カタカナ、漢字
  • ローマ字(大文字及び小文字)
  • アラビア数字
  • 符号:「&」(アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」(コンマ)、「-」(ハイフン)、「.」(ピリオド)、「・」(中点)

上記以外の文字・数字・符号は、商号に使うことができません。

符号は、定められた6つの符号のみ使用できます。「、」「。」や「!」「@」などの記号も使用できません。

そして、6つの符号は「字句(単語)を区切る際」にのみ使用できますので、先頭や末尾に使用することはできません。ただし、「.」(ピリオド)は、省略を表すものとして商号の末尾に使用することもできます。

また、空白(スペース)は「ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り」単語の間を区切るために使えます。従って、「合同会社」と「商号」の間に使ったり、漢字やひらがなの間に使うことはできません。

<使用できる商号の例>

  • 株式会社ラブ・アンド・ピース
  • 株式会社ラブ&ピース21
  • 株式会社LOVE Peace
  • 株式会社LOVE&Peace.
  • 株式会社LOVE AND Peace

<使用できない商号の例>

  • 株式会社らぶ あんど ぴーす
  • 株式会社ラブ アンド ピース
  • 株式会社ラブ!ピース
  • 株式会社LOVE&Peace。
  • 株式会社 LOVEANDPeace

特に「合同会社」と「商号」の間に空白を使いがちですので、登記申請を行う際は注意しましょう。

当たり前ですが、使えない文字を使用すると法務局で登記が通りません。もちろん作成した定款や申請書類もすべて作成し直さなければなりませんので、二度手間になってしまいます。

商号には使える文字と使えない文字があることを知っておきましょう。

ポイント3.許認可が必要な事業目的を記載していること

合同会社は原則として、定款に定めた事業目的の範囲内で、事業を営むことができます。ですので、設立後すぐに開始する事業以外にも、将来的に行う可能性がある事業も目的に記載しておくことができます。

と、ここまでは知っている人も多いかと思います。

しかしながら、役所等への許認可(許可や認可)が必要な事業を行うには、「役所等で指定されている目的文言を定款に記載しなければいけない」ということを知らない人が多いのです。

許可とは、通常禁止されている事業を一定の要件を満たす場合に限り、許可を与えるというものです。

例えば、訪問介護事業を行うのであれば市役所等へ介護事業者の指定申請を、人材派遣業を行うのであれば労働局へ労働者派遣事業の許可を、飲食業を営むのであれば保健所へ飲食店営業の許可を受けなければなりません。

これらの許認可が必要な事業を行うには、役所等の各申請先で決められた目的文言を定款に記載する必要があるのです。

上記の例で言うと、「介護保険法に基づく訪問介護事業」「労働者派遣事業」「飲食店の経営」等です。

もし決められた目的文言を記載しなければ、設立したばかりなのに定款の変更を余儀なくされ、手間と費用がかかってしまいます。

これから行おうとしている事業が許認可事業に該当しないかを確認してから、目的を記載するようにしましょう。

ポイント4.事業年度を考えて決めること

合同会社の事業年度は、任意に設定することができます。

一番多い事業年度は「4月1日から翌年3月31日まで」ですが、1年以内の期間であればいつでも構いません。

ただし、何も考えずに事業年度を決めてしまうと意図しない結果になってしまうので注意しましょう。

事業年度の末月を決算月(決算期)といいますが、決算後原則2ヶ月以内に税務署へ決算申告(確定申告)を行わなければなりません。

もし繁忙期に決算月が該当すると、事業に専念できなくなることが考えられます。また、繁忙期は売上が上がるため、最終的に利益が多くなることが予想されます。

また、資本金が1,000万円未満の場合は、原則として設立してから1期目と2期目(※)は、消費税の納付が免税されます。従って、事業年度の開始月を会社の設立月と合わせることで、1期目の免税期間を長くすることができます。

※2期目は1期目の上半期の課税売上高または支払給与等の額が1,000万円以下の場合のみ免除。税金の専門は税理士さんとなりますので、詳細は顧問税理士さんまたは税務署にお問い合わせください。

例えば、合同会社を7月中に設立したい場合は、事業年度を「7月1日から翌年6月30日まで」とすることで、1期目の事業年度を最長とすることができます。

事業年度の始期をいつにすればいいのかをよく考えてから、事業年度を決めるようにしましょう。

ポイント5.定款作成日に間違いがないこと

定款には、定款を作成した日を記載するのですが、この定款作成日を「合同会社の設立日」としていることがよくあります。

ご自身が「合同会社を設立したい日付」=「法務局へ登記申請を行う日」を記載していることがありますが、これは間違いです。

定款作成日とは、文字通り「定款を作成した日」のことです。

合同会社では、社員全員で商号、事業目的、所在地、社員の出資額などを決めて、定款を作成したその日が「定款作成日」です。

定款作成日以降に、就任承諾書を作成したり、社員が出資する資本金の払込作業を行ったりして、法務局へ登記申請を行いますので、定款作成日が最も早い日付ということになります。

定款作成日は、「定款を作成した日」であり、最も早い日付だということを知っておきましょう。

ポイント6.定款に収入印紙を貼り付けていること

合同会社の設立のときに作成した定款の原本には、収入印紙4万円を貼る必要があります。

法務局へ提出する用の定款と、会社へ保管する用の定款を2部作成したら、会社に保存する定款に収入印紙4万円分を貼り付けて保管しておきましょう。

ただし、電子定款には、収入印紙を貼る必要はありません。

印紙税が課税されるのは、印紙税法で規定された「課税文書(紙ベースの文書)」に限られているため、定款を紙で作成した場合のみ、収入印紙を貼りつけておく必要があります。

収入印紙を貼るのを忘れてしまう人も多いようですが、基本的には「脱税」状態となってしまいますので、気をつけましょう。

では、電子定款を作成したほうがお得だと気づくと思いますが、自分で電子定款を作成するには手間と費用がかかります。

紙で定款を作成する場合は、定款末尾に社員が記名押印するため、印刷した紙の定款に直接判子を押します。しかしながら、電子定款には押印することができません。ですので、その代わりに「電子署名」をすることになります。

この電子署名をするのには、いろいろと下準備が必要です。

パソコン、マイナンバーカード、ICカードリーダライタ、PDF作成ソフトを準備します。

マイナンバーカードを持っていなければ、交付されるまで1ヶ月ほどかかりますし、マイナンバーカードを持っていても、マイナンバーカードに電子証明書が搭載されてなければ、役所で電子証明書の交付申請を受けなければなりません。

たった一度、電子定款を作成するだけに大変な手間と費用がかかるため、結局紙で定款を作ったほうが早いという結論に落ち着きます。

もしくは、電子定款の作成を専門家へ依頼するという選択肢があります。手数料を支払う必要はありますが、手間と費用を比べると、検討してみるのも良いと思います。