相談支援事業開業の流れを行政書士がわかりやすく解説

相談支援事業を開業するには

相談支援事業を開業するには、事業所の地域を管轄している都道府県または市区町村に対して申請を行い、事業者として指定を受ける必要があります

指定を受けると「指定一般相談支援事業者」「指定特定相談支援事業者」「指定障がい児相談支援事業者」として、各サービスを提供することができます。

この指定は、「提供するサービスの種類ごと及び事業所ごと」に受ける必要があります。

つまり、同じ事業所で一般相談支援事業と特定相談支援事業の両方の事業を行いたいのであれば、一般相談支援事業と特定相談支援事業それぞれの指定を受けなければなりません。

①申請先窓口の確認

申請先窓口は、指定を受けようとする事業によって異なりますので、まずは申請先の窓口がどこになるのかを確認します。

指定申請書の提出先窓口は、都道府県、または、都道府県から権限が移譲された市区町村です。

<申請先窓口・東京都の場合>

■一般相談支援事業

「東京都福祉保健局」の担当窓口へ申請書類を提出します。

■特定相談支援事業・障がい児相談支援事業

事業所の所在地の「区市町村」の担当窓口へ申請書類を提出します。例えば、事業所が東京都品川区にある場合は、「品川区障がい者福祉課」が申請先窓口になります。

<申請先窓口・兵庫県の場合>

■一般相談支援事業

「兵庫県障がい福祉課」へ申請書類を提出します。

ただし、事業所の所在地が神戸市・姫路市・尼崎市・西宮市・明石市にある場合は、各市の担当窓口へ申請書類を提出します。

■特定相談支援事業・障がい児相談支援事業

事業所の所在地の市町へ申請書類を提出します。

指定を受けるにあったっての要件の確認や事前相談は、申請先窓口に問い合わせることになりますので、事前に窓口を確認しておくとスムーズです。

必ず申請先窓口で指定を受けるための要件(基準)を満たしているのかを確認しましょう。

②法人を設立する

申請先窓口で要件の確認が終わり、指定申請を行う目処がついたら、法人を設立します。

指定を申請するには「法人格」が必要です。個人事業では申請できませんので、法人を設立しなければなりません。

法人は、株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人のいずれでも構いません。事業所の実情に合わせて、どの法人を設立するか検討しましょう。

注意点としては、設立する法人の事業目的の中に、指定を受ける相談支援事業の記載が入っていることです。

例えば、一般相談支援事業は「障害者総合支援法に基づく一般相談支援事業」、特定相談支援事業は「「障害者総合支援法に基づく特定相談支援事業」、障がい児相談支援事業は「児童福祉法に基づく障がい児相談支援事業」等です。

これらの記載方法は、申請先によってそれぞれ異なっていますので、必ず事前に確認をしてください。

すでに、株式会社や合同会社を設立している場合は、事業目的の中に相談支援事業の記載が入っている必要があります。

もし入っていない場合は、法務局へ目的変更の登記を行います。

③事務所を準備する

相談支援事業を行う事務所を準備します。事務所を借りるのであれば、法人名義で賃貸借契約を行います。

事務所には事務室と受付・相談等のスペースを確保しなければなりません。

申請先によっては会議室の設置を求めらるなど、独自の基準を設けていることがありますので、事前に申請先窓口へ確認するようにしましょう。

必要に応じて事務所内部の写真の提出が必要となりますので、机・椅子・鍵付書庫、パソコン・電話・FAX・プリンター等の事務所備品も準備します。

相談支援事業所の広さと設備について行政書士がわかりやすく解説

④申請書類を作成する

指定申請を行うにあたって必要な書類を作成します。

おおむね、各申請先窓口のホームページに提出書類一覧が掲載されていて、書式がダウンロードできるようになっています。

申請の際に必要な書類は、主として①申請書、②付表、③参考様式、④その他添付資料です。

また、相談支援専門員の資格証の写しや実務経験証明書、相談支援従事者研修修了証が必要になりますので、事前に準備しておきましょう。

⑤申請書類の提出

申請先窓口へ申請書類を提出します。

基本的に窓口へ出向いて提出しますが、その際に提出書類に不備がないかチェックされ、不備がなければ受理されます。

申請先によっては、申請書類提出前に事前相談が必須となる場合がありますので、確認しておきましょう。

申請書類の不備や不足により、修正が必要になる場合があるため、余裕をもった提出を心がけましょう。

申請書類が受理された後、申請先の行政庁において、定められた人員や設備・運営に関する基準を満たしているかどうか、具体的な審査が行われます。

一般相談支援事業に必要な人員は?

特定相談支援事業・障がい児相談支援事業に必要な人員は?

提出期限は申請先窓口によって異なりますが、基本的に指定は毎月1回行われていて、申請書類が受理された翌々月1日付けで指定となります。4月末までに申請したものは、6月1日付けで指定されます。

指定日についても、各自治体のホームページに具体的な日程が掲載されていることが多いので、事前の確認が可能です。

⑥指定事業者の決定

審査の結果、指定されると決まった場合は、事業所に指定通知書が到着します。

指定日「原則各月の1日」から事業を開始することができます。

以上が相談支援事業開業までの一般的な流れとなります。