合同会社の定款

ポイント1.合同会社の定款とは?設立書類の中で最も重要!

合同会社の定款は、会社の根本規則や運営ルールなどを定める最も重要な書類です。

合同会社を設立する際に必ず作成しなければなりません。

合同会社は、公序良俗に反せず、法令に反しない限り、会社の組織設計や利益配分等を定款で自由に定めることができますが、自由とは言っても、合同会社の定款には必ず記載しておかなければならない事項があります。

ここでは、合同会社の定款を作成するポイントについて解説しています。

合同会社の定款の絶対的記載事項とは?

絶対的記載事項とは 定款の中に必ず入れておかなければならないことを事項のことです。この絶対的記載事項が1つでも欠けていると、定款全体が無効になります。

  1. 会社の商号
  2. 会社の目的
  3. 会社の本店所在地
  4. 社員の氏名及び住所
  5. 社員を有限責任社員とする事
  6. 社員の出資の目的とその価額等

その他、定款に記載しなければ効力を生じない「相対的記載事項」、会社のルールとして明確にしておきたい「任意的記載事項」を合わせて定款に記載することができます。

ポイント2.合同会社の定款には公証役場の認証は不要?

合同会社の定款は株式会社の定款とは異なり、公証役場での定款認証手続きは必要ありません。

定款認証手続きとは、公証人が定款内容について法的に不備がないか、記載内容に誤りがないか等、会社設立前に事前チェックを受け、適法に作成されたことを公証人が証明するための手続きのことです。

合同会社はこの定款認証手続きが必要でないため、公証人のチェックを受けることができません。そのため、ご自身で作成した定款を専門家のチェックを通さずに、そのまま法務局に提出することになります。

公証役場での手続きが不要なので一見簡単で楽なように思えますが、もし定款内容に不備があった場合には登記が通らない可能性もあります。

公証人のチェックが入らないからこそ、ミスのないよう確実に作成する必要があるのです。

ポイント3.合同会社の定款印紙代について

定款を紙で作成すると印紙税法の適用を受けますので、4万円の収入印紙代が掛かりますが、「電子定款」で作成すると印紙代が不要になりますので、4万円を節約することができます。

設立時の経費削減の為にも合同会社の定款は、電子定款で作成することをお勧めします。

電子定款はご自身でも作成できますが、初期投資の費用や手間がかかりますので、一度きりの作業の為に無料な手間暇を書けるのは賢明ではありません。

ポイント4.合同会社の定款作成に関して

合同会社は、株式会社と比べると定款自治の範囲が大きく、定款の規定をどのように置くかが重要です。

これから説明する「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」に留意しつつ、定款の作成を進めましょう。

絶対的記載事項

合同会社の定款には「絶対的記載事項」として、次の事項を記載しなければなりません。

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
    ※定款には最小行政区画を記載すれば足ります。
  4. 社員の氏名又は名称及び住所
    ※法人が社員となることも認められているので、法人が社員になる場合はその名称及び所在地を記載
  5. 社員全員が有限責任となる旨
  6. 社員の出資の目的及びその価額又は評価の基準
    ※金銭その他の財産を出資の目的とすることができます。

相対的記載事項

「相対的記載事項」は、定款に記載しなければ効力を生じない事項です。定款に記載しなければ効力が生じませんので、規定を置く場合は、漏れがないようにしましょう。

  1. 業務執行社員の定め
  2. 社員の定め
  3. 社員の退社事由の定め
  4. 存続期間の定め
  5. 解散事由
  6. 競業取引の許容
  7. 解散の場合における財産の処分方法の定め
  8. 代表清算人の定め

任意的記載事項(会社法577条)

「任意的記載事項」は、法律や公序良俗に反しない範囲で会社が任意で定めることができる事項です。おおむね、下記事項が該当します。

  1. 公告方法
  2. 事業年度
  3. 利益配当の請求方法その他利益の配当の定め
  4. 社員の損益分配の割合の定め
  5. 残余財産の分配の定め

ポイント5.合同会社の定款作成時に注意すべき点

注意点その1.社員の住所・氏名は印鑑証明書通りに!

定款には必ず「社員の氏名及び住所」を記載しなければなりませんので、社員個人の印鑑証明書の記載通りに定款へ記載するのが望ましいです。

なお、業務執行社員は氏名が登記され、代表社員は住所と氏名が登記されます。

注意点その2.定款に押印する印鑑は実印がベスト!

定款を紙で作成した場合、社員全員で記名押印する必要があります。

定款に押印する印鑑の種類に決まりはありませんので、実印でも認め印でもどちらでも問題ありませんが、信用性を担保するために実印での押印をお勧めします。

注意点その3.複数名で設立する場合

出資額とは異なる利益配分を行う。

合同会社では、社員の出資比率に関係なく利益配分の割合を自由に決めることができますので、もし社員ごとに異なる配分を設定する場合は定款に定めなければ効力は生じません。

定款に定めなければ、出資割合通りの利益配分となります。

退社事由を定款で定める。

合同会社では社員の退社事由が定められていて、後見開始の審判を受けたことや、破産手続き開始の決定がされたことが退社事由になります。退社事由が発生した場合は、自動的に退社となります。

それ以外にも、あらかじめ定款に記載した特定の条件「〇〇の場合には退社する」などが満たされた場合は社員が退社するように規定することができます。

注意点その4.1人で設立する場合

株式会社では出資者である株主が死亡した場合、相続人にその地位が相続されますが、合同会社では出資者である社員が死亡しても原則として相続人が社員の地位を引き継ぐことはできません。

合同会社では社員が死亡すると退社します。ですので、一人で合同会社を設立して、その社員が死亡などの事由で一人もいなくなると、自動的に合同会社は「解散」することになります。

したがって、解散のリスクを回避するためには、社員が死亡した場合は相続人にその持分を承継させるように定款に定めておく必要があります。

注意点その5.現物出資を行う場合

お金以外の財産を現物出資する場合は、その財産を特定できるように定款に記載する必要があります。

現物出資をする財産がパソコンであれば、メーカー、製造年、型式、製造番号、台数、その価額です。具体的には、下記のような記載になります。

デスクトップ型パソコン 1台
富士通FMV 平成30年製 ABCDF
製造番号 1234567
価額 金10万円

製造番号や型式などがない財産、例えばオフィス用品、デスク、椅子、自転車などであれば、分かる範囲で具体的に記載すれば問題ありません。

ポイント6.合同会社の定款雛形サンプル<一人会社のシンプル版>

社員が一人の場合の定款雛形・サンプルです。

合同会社モヨリック 定款
第1章 総 則
(商号)
第1条 当会社は、合同会社モヨリックと称する。
※設立する合同会社の商号(会社名)を記載します。

(目的)
第2条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。
1.●●業
2.●●の販売
3.●●の経営
4.前各号に附帯する一切の業務
※会社の事業目的を箇条書きで記載します。個数に制限はありませんが、おおむね10個程度にまとめておくと第三者が見てどのような事業を行っているかわかりやすいです。

(本店の所在地)
第3条 当会社は、本店を神戸市に置く。
※定款に記載する会社の本店所在地は、最小行政区画で足ります。

(公告方法)
第4条 当会社の公告方法は、官報に掲載して行う。
第2章 社員及び出資
(社員の氏名、住所、出資及び責任)
第5条 社員の氏名及び住所、出資の価額並びに責任は次のとおりである。
1.金50万円
 神戸市中央区北長狭通4丁目2番19号
 有限責任社員 ◯◯ ◯◯
※社員の住所・氏名と出資額、有限責任である旨を記載します。

(持分の譲渡)
第6条 社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。
2 会社法第585条第2項及び第3項は、適用しない。

第3章 業務の執行及び会社の代表
(業務執行)
第7条 社員◯◯ ◯◯は業務執行社員とし、当会社の業務を執行するものとする。
※業務執行社員の氏名を記載します。

(代表社員)
第8条 当会社の代表社員は、◯◯ ◯◯とする。
※代表社員の氏名を記載します。

第4章 社員の加入及び退社
(社員の加入)
第9条 新たな社員を加入させるには、総社員の同意を要する。
(任意退社)
第10条 各社員は、事業年度の終了の時において退社をすることができる。この場合においては、各社員は、2か月前までに会社に退社の予告をしなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、各社員は、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができる。
(社員の相続及び合併)
第11条 社員が死亡し又は合併により消滅した場合には、当該社員の相続人その他の一般承継人は、当該社員の持分を承継して社員となることができる。

第5章 計 算
(事業年度)
第12条 当会社の事業年度は、毎年◯◯月◯◯日から翌年◯◯月◯◯日までの年1期とする。
※会社の事業年度を記載します。

(損益分配の割合)
第13条 各社員の損益分配の割合は、その出資の額による。

第6章 附 則
(最初の事業年度)
第14条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から令和◯◯年◯◯月◯◯日までとする。
※最初の事業年度を記載します。第12条の事業年度と齟齬がないように注意しましょう。

(定款に定めがない事項)
第15条 この定款に定めのない事項については、会社法その他の法令の定めるところによる。

以上、合同会社モヨリックの設立のため、この定款を作成し、社員が次に記名押印する。
令和◯◯年◯◯月◯◯日
有限責任社員 ◯◯ ◯◯ ㊞
※定款作成日と社員の氏名を記載して、押印をします。

ポイント7.法務局への定款提出方法

定款を電子定款で作成した場合は、電子定款をCD-Rに保存して法務局に登記申請書類と一緒に提出します。定款を印刷する必要はありません。

定款を紙で作成した場合は、印刷した定款に社員の記名押印をして法務局へ提出します。